THNKアドバイザリー（THNK）は、文化芸術領域に特化した会計事務所 Yamauchi Accounting Office が新たに設立した経営コンサルティングファームです。私たちは代表の山内真理氏からの相談を受け、THNKの立ち上げに際して、ビジュアルアイデンティティのデザインを行いました。

経営と文化芸術という一見矛盾した2つの背景を持つ THNK のアイデンティティが必要としたのは、信頼感とクリエイティビティの両立です。一般的に、ビジュアルにおける “信頼感” は業界の伝統や形式を守ることで表現され、反対に、“クリエイティブさ” は新しい手段や型にとらわれないことによって表現されます。私たちはこの二つを両立させるために、「ルールがあるからこそ生まれる表現」を探ろうと考えました。

私たちはまず、ビジュアルのルールとして「表（グリッド）」を用意しました。表は、ルネサンス以降、会計やタイポグラフィとの深い関わりをもつ要素の一つです。私たちはこのグリッドをもとに、均一な幅でロゴの文字それぞれを作っていきました。ロゴタイプは、“THNK”の4文字を横一列に並べたものと、上下2文字ずつで四角く並べたものの2通りが用意されています。各々の文字はミニマルなセリフを特徴とし、全ての文字が直線で構成されています。グリッドと等幅の文字というシンプルなルールは、表現に一貫性や信頼感を持たせながら、新しいビジュアルを作るための基準、つまり、クリエイティビティの下支えにもなります。

このルールをもとにデザインしたアニメーション “Thinking” では、ロゴのバリエーションが生成され続けることで、THNKのアクティブな姿勢や、新たなクリエイティブが創出されていく様子を表現しています。