1. SOMA
  2. SOMA
  3. Branding, Content, Environment, Interactive, Strategy
  4. 2017-
Logotype and images, 2016.

SOMA は日本古来の木にまつわる文化を現代に伝えることを目的とした、ライフスタイルブランドです。木工家の川合優氏が立ち上げたこのブランドは、日本産の針葉樹を使ったプロダクトのデザインや製造販売を中心に、ワークショップ、トークショーなど、森林環境の健全化や、文化の普及に向けた活動を行っています。Kamimura & Co. はブランドの立ち上げ時から、ビジュアルアイデンティティ、ウェブサイト、展示、出版物等のデザインに協力しています。

SOMA のデザインは、歴史を持った樹木——例えば、神代杉(1000年以上地中に埋もれていた杉)のような強い霊性をもつ木——の、香りや佇まいを表現したい、という川合氏のアイデアから始まりました。私たちは、日本の森や木についてのリサーチを進めるうちに、自然が備える特性を美の規範とする考えは、古くから世界共通で存在していることに気がつきました。それは、当初から国内外での展開を想定していた SOMA にとって、理に叶うことでもあります。私たちは、木の姿そのものや木の備える性質をデザインの規範とし、多くの人が直感的に木を感じられる、シンプルなビジュアルアイデンティティを作ろうと考えていきました。

ビジュアルの根幹となるのは、木の幹をシンプルに表現したエレメントです。私たちはそのエレメントをもとに、ブランドマーク、ロゴタイプ、専用タイプフェイスへとデザインを広げていきました。“SOMA” という名称は、かつて日本の山で木と共に生活してきた人々の呼称、“杣 (そま)” に由来しています。杣の道具である斧には、古くから、片面に4本、もう片面に3本の計7本の線が刻まれてきました。その理由は明らかにされていませんが、一説によれば、それらは浄めの意味を象徴するものだと言われています。私たちはその7本の線を現代的に再解釈、再構成することで、神事的な意味を受け継ぎながら、森林の姿を表すブランドマークをデザインしました。また、アルファベットのロゴタイプや専用のタイプフェイスは、古代ローマの石造建築に刻まれた、しなやかで力強い碑文が、もし、古代日本の木造建築にも刻まれていたとしたら、それはどのような形だろうか?と考えることからデザインした、オリジナルのサンセリフ体です。また、各種印刷物では、紙は木から作られている、ということに立ち返り、エコフレンドリーな非塗工紙を使用し、余分な印刷物はできる限り作らないようにしています。

その他にも、私たちは撮影のディレクションや、展覧会の企画協力なども行なっています。SOMA の活動は決して大きな規模のものではありませんが、その考えに共感する人々の協力によって、現在も少しずつ活動を広げています。