美術家/文筆家/キュレーターなどとして多面的に活動する上妻世海氏。Kamimura & Co. は、彼の初期論考集「制作へ」をデザインしています。本書のデザインは、著者の理論をブックデザイン全体に反映するために、身体に強く作用するカラーパレットやタイポグラフィ、マテリアルで構成されています。ジャケットや小口の過激なアテンションと、本文の静謐さ、ペーパーバックのような軽い外観と、ハードカバーのような実際の重み。相反する要素の連続によって、読者は興奮と鎮静が入り乱れた読書体験に導かれます。

また、私たちは書籍の設計に加えて、プロモーション用のウェブサイト、モーショングラフィックス、関連イベントのグラフィック等も同様のコンセプトをもとにデザインしています。書籍単体でなく、書籍を取り巻く環境が、一つの読書体験として立ち上がること。それが、私たちが本書のデザインにおいて目指したことです。